mりっとるの詩書箱  

マドロミ 再生


 虚ろになりながらも電車に乗った
行き先は自分の家のハズだった
ハズだったけれど
見知らぬ土地に着いた

そこは私の夢見た土地だった
明るくて やさしくて 暖かくて
ワズラワシイモノは何もない
ワズラワシクナイ人々が居て
ココに居られる事に 幸せを感じた

眩しくて まどろんで 惰っていて
私の中は何故か暗いままだった
ふと周りを見ると周りの人が減っていた
まだ居る人を見ると影のように消えた

ふと自分を見ると手が真の黒だった
右手が光に溶かされた 痛くはなかった
左足が無くなった 左手が地面に触れた
左手が消えた 地面に伏した
地面には 赤 赤 赤 そして輝き
来た時とここに居る時のように虚ろに
私が私であるかわからないように
消えていった

そして赤い地面は拾われて
また私でない私とされたようだった
そして電車の外へ放り出される



幻原(マボロシハラ)

ふと毎日の夕方の散歩途中
道端に光るものを見つけた
宝石の形をしたガラスのキーホルダー
ひびが入ってるけど
ひびにあたる光が虹のようだった
近所のおばさんが
「そんなもの捨てなさい」
と言うまでは

夕日に飲み込まれた街が崩れた
積み木のように 硝子のように
足元に散らばる 砂のように
不思議に思って手に取ると
その粒は宝石の輝き
さっきおばさんが立っていた方には
一心不乱に砂をかごに入れるおばさんが
かごからこぼれてるのにうれしそうな顔でいた
たくさん入れるという事が嬉しいのか
手に入るという事が嬉しいのか
私にはわからない

のどが渇く
あたりは砂だけ 水はない
水を探した
けれど見つかるのは
水を探して見つからなかった人だけ
水はドコ?
生きたいのに
死にたくないのに

宝石なんかいらない 水が欲しい

宝石を手に入れるって何?
綺麗だから欲しいの? じゃぁなんで眺めないの?
富を得たいから?  富って私を生させるの?
生きるため? 宝石は食べられないし喉も潤せないよ?
私は生きたい だから水を探すんだ

霞んだ視界に地面の青く窪んでいる所が入った
私は駆け出した
けれどそれは大きく平らな青い宝石
水はどこ?水が欲しい
私は生きたい
悔しくて宝石の湖面をたたく
すると手に持ってた硝子球が弾けた

私に残ったのはキーホルダーの破片
見るのは眉をひそめたおばさん
私は手についた破片をはらい
公園の水飲み場へ駆け出した


とっぷ行き