Simasaki Issui 一翠書道会会報 すみいろ 墨彩 本文へジャンプ
嶋崎一翠 ごあいさつ

 
              理事長 嶋崎一翠
      「創作の楽しみ」
 詩や句は言葉によって世界を創造し、私達に夢
や希望を与えてくれます。感動したもの、表現した
いもの、すべてが作品の題材になります。
 作品をどのような印象にするかを考えるとき、
最も参考になるのは、古典の書風です。
 龍門石窟の造像記の一つで、地方出身の貴族が息
子牛蕨の冥福を祈って仏像を造立したことが記さ
れている『牛蕨造像記』や後漢時代の石碑で大胆で
おおらかな書風が魅力的な隷書体で刻され、八分
といわれる波磔のある碑の一つ。張遷という役人の
徳を讃える内容が記されている『張遷碑』などは
力強さ、安定感といった共通点を持つ書風と、素朴
でたくましさを持つ書風。そして又、華麗で変化に
富んだ行書の『枯樹賦』や『温泉銘』や、豪放で力
強い率意の書で、顔真卿の人間性に直に伝わる行
書の『祭姪文稿』等は古典の書風を参考にしな
がら、作品づくりをしてみるのも楽しいものです。

 
ごあいさつ
         理事長 嶋崎一翠
 「ことば」は文字で書かれえいます。そして書は文字を表現する芸術です。 意味、形、そしてそこから生まれてくるイメージ。
それらが一体になって、「ことばの姿」が立ち上がってきます。 「今月の課題は何かな」「石払いか」「難しい課題だ」と書く前に心の中で呟くことがありませんか。書くにくい題材にあうと、眉間に皺がよって心が後退することがありますが、こんな時は「よし少し苦しんでみるか、勉強だ」「どんどんむかっていってやるぞ」ぐらいの気持ちが大切かと思われます。心のもち方ひとつで意識が変わると言われますから。
そして書きっぱなしにならない様にしたいものです。書いた作品を自分の眼で客観的にとらえ選別し、善し悪しを見極め判断しましょう。でないと進歩もありませんし、見る力が養われません。書き終わったら眺め反省し、修復していく。この書く前の新たな心の動きが大切なのだと思うのです。何枚書いても同じにならない様にsたいものです。 又、文章や内様によって、表現方法が異なるはずで
すし、詩の内容によっては強く表現したり、又明るいく弾んで表現したりと異なった表現をするのが理想だと思います。 日本語の言葉の温もり、心を動かす言葉の力にははかりしれないものがあります。詩の内容を充分に噛みしめ多くの溢れんばかりの感性で、心があたたかくなる作品を発表してほしいと願います。

 
               理事長 嶋崎一翠
       「自然に書く」
 過日、音楽家の対談を耳にしました。その中でバイオリンの方が「最高の技術を身につけていても、いかに素晴らしい高度な技を持っていても、その人の心の響きがなければ本物の美しい絵色は出せない。そして、それは正道の芸術にはならない」と話していました。いかに心の中の動き、響き、そして自然なこころが大切であるかということでした。 又、作曲家の一人は「曲を作るときに隅々まで上手くかけた曲は、ヒット曲に結びつかない。」そして「なにげなく自然で新鮮なときに作った曲が大ヒットを生むことがある。」と・・・。 書の名品の中にも数多くの下書きとよばれる草稿があります。構えずに作為的にならず心の内のまま自然に書く。旨の中の新鮮な素直な気分で一気にグイグイと書いているものが人の感動を生むようです。とても面白いことです。



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