Simasaki Issui 一翠書道会会報 すみいろ 墨彩 本文へジャンプ
嶋崎一翠 ひとこと

追悼 金子卓義先生   墨彩第13号 嶋崎一翠

 
 書くたびに字は変わります。同じものは二度とかけません。書いている一瞬一瞬が生きている感動を与えてくれます。今まで自分に無かったものを求めているためのトライ、可能性の追求、躍動感や息づかいが紙面に伝わり、その努力に挑んだ後の爽快さは書き上げた人しか味わえない、瞬間芸術のつきせぬ魅力です。詩情豊かな作品を書きたいと思っています。 「滲みでる紙で」
線の違いは、運筆の速さによって異なってきます。墨の多いときは速く、なくなってきたら、ゆっくりと。いわゆる遅速を教えてくれるのが、大切な紙です。硬くつるつるした滲みのない紙では速さが覚えられません。ゆっくり書いても滲まないため、本当の遅速の速さが得られず、呼吸のない浅く乾いた線になってしまいますので、是非柔らかく、滲みの出る紙で書いてください。本当の墨の濃淡も解りますし、大切な遅速の変化も覚えられます。
滲みの出る紙が書きよくなってきたら、しめしめです。
 

 



   copyright(c)2008 N/ENSHOJI Design All right Reserved